仁義なき戦い
14.12.02 京じい雑記
俳優の菅原文太さんが亡くなった。その代表作は、いうまでもなく深作欽二監督の「仁義なき戦い」で、私も全作観ているが、深作監督に対してはちょっとほろ苦い思い出がある。
まだ20代のとき、ある小さな制作会社が京都、大阪、神戸の3都をカバーしたタウン誌をつくるというので、知り合いに誘われてその編集に加わったことがあった。誌名を考え、表紙にはファンだった深作監督の上半身の白黒のアップ写真を載せ、空きスペースに監督のメッセージを白抜きで流すというデザインを思いついた。そこで、いずれも20代のデザイナー、編集者の3人と連れもって、京都撮影所で「仁義なき戦い」を撮影中だった深作監督を訪ねていき、直接原稿をお願いしたら、快く引き受けて原稿を送ってくださった。
ところが、肝心の製作会社が倒産してしまい、タウン誌も発行できずじまい。深作監督に報告もお礼もしないまま、うやむやになってしまった。菅原文太さんの死亡報道で「仁義なき戦い」を目にすると、40年ほど前のあのときのことが甦ってきて、胸がちくちく痛む。すでに鬼籍に入られたが、深作監督、仁義なきことをして申し訳ありませんでした。